軽自動車を長期間使わない予定があるなら、「一時抹消登録」という手続きを検討すべきです。この手続きにより、車検や自動車税の負担を一時的に停止することができ、無駄な維持費を削減できます。
一方で、手続きには複数の書類が必要であり、記入ミスや漏れがあると申請が通らないこともあります。本記事では、軽自動車の一時抹消に必要な書類や記入方法、手続きの流れを詳細に解説します。初めての方でも安心して手続きできるよう、丁寧にご案内いたします。
軽自動車の一時抹消とは?

軽自動車の一時抹消とは、自動車の使用を一時的に中止し、公道を走らせない期間中の車検・税金・自賠責保険などの義務を止めるための登録抹消手続きです。
将来的に再び使用することを前提にしており、車両自体は解体せず保管します。自動車の維持費を抑えたいときに有効な制度です。
軽自動車の使用を一時的に中止すること
軽自動車の一時抹消登録とは、所有している車両の使用を一時的に中止する際に行う行政手続きのことを指します。
この手続きは、転勤、長期の海外赴任、入院、出張など、一定期間車を使用しない理由がある場合に行われます。一時抹消を行うと、その間の車検が一時停止され、自動車税や重量税、保険料などの費用も発生しなくなるため、金銭的な負担が軽減されます。
また、登録を残したまま車を使用しない状態で長期間放置すると、不要な税金が課されるだけでなく、次回の車検時に追加の手続きが必要になることもあります。その点、一時抹消登録を行っておけば、車両を安全に保管した状態で、使用を再開する際もスムーズに再登録が可能です。つまり、一時的な使用中止には非常に適した制度なのです。
一時抹消するメリット
軽自動車を一時抹消することで得られるメリットは多くあります。主なメリットは以下のとおりです。
・ | 維持費の削減 | 一時抹消期間中は自動車税・重量税が課税されないため、年間数万円の節約が可能です。 | |
・ | 車検の有効期間が停止 | 再登録の際には残りの車検期間が再開される仕組みで、期間が無駄になりません。 | |
・ | 自賠責保険の中止・返戻金の対象 | 一時抹消後に保険会社へ申請すれば、残存期間に応じて保険料の一部返還が受けられる場合があります。 | |
・ | 再利用が可能 | 将来的に使用を再開できるため、売却や廃車に比べて柔軟性があります。 |
特に、「まだ乗る予定はあるけれど、今は使わない」という場合に、一時抹消は最も合理的な選択肢です。無駄な出費を抑えつつ、情報の整理もできるため、多くの利用者に選ばれています。
永久抹消との違い
一時抹消と永久抹消は、いずれも自動車登録を一旦取り下げる手続きですが、その目的や再登録の可否などに明確な違いがあります。
比較項目 | 一時抹消 | 永久抹消 |
使用再開 | 可能 |
不可能 |
目的 | 一時的な中止 | 車両の廃棄・輸出など |
必要な書類 |
車検証 |
解体証明書など |
税金の扱い | 一時的に停止 | 完全に終了 |
登録抹消証明書 | 発行される |
発行される |
永久抹消は、車を解体処理するなど「完全に使用をやめる」場合に選ばれ、再登録は基本的にできません。一方、一時抹消は、車を保管しておき、再度使用することを想定した制度であり、柔軟性が高い手続きです。
一時抹消後に再登録は可能?
はい、軽自動車の一時抹消登録を行った後でも、再登録は可能です。
再登録には「一時抹消登録証明書」が必要であり、この書類は手続き時に発行されるため、紛失しないよう厳重に保管しておく必要があります。再登録時には以下の手続きが必要です。
・ |
車検の再取得 | 車を再び公道で使用するためには、有効な車検が必要です。 | |
・ | 必要書類の提出 | 登録申請書、車検証、保険関連書類などを揃えます。 | |
・ | ナンバープレートの交付 | 再登録により新しいナンバープレートが交付されます。 |
再登録の際には手続き費用や検査費用が発生しますが、新たに車を購入するよりもコストを抑えられるため、一時的な使用中止における合理的な手段です。また、必要な情報や書類を正確に揃えることで、スムーズな手続きが可能となります。
軽自動車の一時抹消に必要なもの・書類

軽自動車を一時抹消する際には、いくつかの重要な書類を用意する必要があります。これらの書類は、所有者・使用者情報の証明や車両返納の意思を明確にする役割を担います。
必要書類の不備があると手続きが進まないため、事前に内容と取得先を把握しておくことが重要です。
自動車検査証(車検証)
「自動車検査証(車検証)」は、軽自動車の一時抹消を行う際に必須となる基本的な書類です。所有者情報、使用者情報、車両の仕様、車台番号などが記載されており、登録された自動車であることを証明します。この車検証は原本を提出する必要があるため、コピーでは受付されません。
また、車検証を紛失している場合は、軽自動車検査協会で再発行の手続きを行わなければなりません。再発行には申請書の提出と本人確認書類が必要で、場合によっては日数もかかるため、余裕を持って準備することが重要です。
住所変更や名義変更、紛失時の手続きについても解説
ナンバープレート(車両番号標)
一時抹消手続きの際には、前後2枚のナンバープレート(車両番号標)を必ず返却する必要があります。このナンバープレートの返納が完了しない限り、抹消手続きは完了と見なされません。
ナンバーが破損していても、識別可能であれば返却は可能です。もし紛失してしまった場合は、「理由書」や「紛失届出書」の提出が求められます。また、盗難などの事情がある場合には警察署への届出も必要となり、受理番号の記載された盗難届出証明書なども併せて提出しなければなりません。
自動車検査証返納証明書交付申請書・自動車検査証返納届出書(軽第4号様式)
軽自動車の一時抹消登録において、中心的な役割を果たすのがこの「軽第4号様式」と軽自動車検査証返納確認書の2書類です。
これらは軽自動車検査協会の窓口で取得可能ですが、事前にダウンロードして記入していくこともできます。
申請書には、車両の基本情報、所有者および使用者の氏名・住所、ナンバープレート番号、使用中止の理由などを正確に記載する必要があります。記入ミスや記載漏れがあると再提出が求められるため、慎重に記入しましょう。
申請依頼書(代理人が手続きする場合)
軽自動車の一時抹消は原則として車両の所有者が行いますが、やむを得ず本人が出向けない場合には代理人による手続きも可能です。
その際に必要となるのが「申請依頼書」です。この書類には、所有者本人の署名または押印と、代理人の氏名・住所・連絡先の記入が必要です。加えて、代理人の本人確認書類(運転免許証など)のコピーも添付します。
依頼者が法人である場合には、法人印や委任状なども必要となるため注意が必要です。申請依頼書は軽自動車検査協会の公式サイトからもダウンロード可能です。
申請手数料
軽自動車の一時抹消手続きそのものに関する行政手数料は、基本的に無料です。これは普通車と異なり、軽自動車の登録制度における特徴のひとつです。
ただし、以下のような場合には別途費用が発生することがあります。
費用が発生するケースは少ないとはいえ、不測の事態に備えて数千円の予備資金を用意しておくと安心です。
軽自動車の一時抹消に必要な書類の書き方
軽自動車の一時抹消に必要な書類は、記入内容が厳格に定められており、ミスがあると受理されません。
以下では代表的な書類の記入方法を実例付きで解説します。記入例を参考にしながら、確実に手続きを進めましょう。
自動車検査証返納証明書交付申請書・自動車検査証返納届出書の書き方

▲自動車検査証返納証明書交付申請書

▲軽自動車検査証返納確認書
この2枚の書類は基本的にセットで使用されます。以下の項目を正確に記入してください。
現在は印鑑制度が廃止になったため、軽自動車検査証返納確認書の印鑑は押さず白紙で提出しても大丈夫です。
記入例は軽自動車検査協会の窓口またはホームページに掲載されています。記載方法に不安がある場合は、記入例を印刷して横に置いて記入するとミスが減らせます。
申請依頼書の書き方
代理人による手続きを行う場合は、「申請依頼書」が必要です。記入にあたっては以下の点に注意しましょう。

また、署名は偽造が疑われないよう、必ず当人が行うこと。法人名義の車両の場合には、社印と代表者の署名が必要になるケースもあります。
軽自動車税申告書の書き方
一時抹消後は「軽自動車税申告書(報告書)」の提出も必要です。これは、地方自治体に車両の登録状況が変わったことを報告し、課税を停止させるための書類です。
自治体によって様式が異なる為、提出先の市町村役場に確認するのが確実です。郵送提出も可能なケースが多いため、遠方在住者にも配慮された仕組みとなっています。

▲<例>大阪府高槻市の軽自動車税廃車申告書
軽自動車の一時抹消をする際の流れ3STEP
軽自動車の一時抹消は、大きく分けて「ナンバープレート返却」「必要書類の記入」「提出・登録」の3ステップで完結します。
それぞれの工程について、実際の手続きの流れに沿ってわかりやすく説明します。
STEP1.ナンバープレートを持って軽自動車検査協会の窓口に行く
最初に行うべきは、ナンバープレートの返却です。軽自動車検査協会の窓口にて返納を行います。ナンバープレートは2枚(前後)揃っている必要があるため、事前に確認しておきましょう。
返却時には、本人確認書類と車検証も併せて持参します。窓口では、番号が合っているか、損傷がないかをチェックされます。破損が激しい場合には、再発行や理由書の提出を求められることもあるため、可能であれば丁寧に保管しておきましょう。
STEP2.必要書類を入手して記入する
窓口に到着したら、必要な申請書類を取得します。記入の際には、ボールペンや消せないペンを使用し、誤記がないように注意します。
窓口によっては記入例も掲示されていますが、不安がある場合は事前に自宅で記入し、係員に確認してもらうのが確実です。所定の様式以外は受理されないため、公式サイトからのダウンロードや配布物を使用することが重要です。
STEP3.書類を提出しナンバープレートを返却する
書類の記入が完了したら、すべての必要書類とナンバープレートを窓口で提出します。書類に不備がなければ、その場で「自動車検査証返納証明書」が発行されます。
この証明書は、将来的に再登録する際に必要となる非常に重要な書類ですので、絶対に紛失しないよう注意してください。返納手続きが完了した段階で、その車両は一時的に登録抹消された状態になります。
代理人が行う場合の流れ
代理人による一時抹消は、原則として所有者の委任が必要です。手続きの流れは基本的に本人と同じですが、追加で「申請依頼書」および代理人の本人確認書類の提出が求められます。
行政書士に依頼する場合には、すべての手続きを任せることも可能ですが、その分費用がかかります。忙しい方や高齢者の場合には、信頼できる代理人に依頼することが安全です。
一時抹消した軽自動車の再登録に必要な書類・流れ

一時抹消登録をした軽自動車を再び使用したい場合には、「再登録」の手続きを行う必要があります。再登録には新たに車検を受けることに加えて、必要書類の準備、申請、ナンバープレートの再取得など複数の手順が存在します。
ここでは、具体的に必要な書類と手続きの流れ、また証明書を紛失した場合の対応方法について詳細に解説します。
必要な書類
軽自動車の再登録には、以下の書類が必要です。
・ |
自動車検査証返納証明書 | 一時抹消時に交付される重要書類。再登録には必須。 | |
・ | 自動車検査証(新規用) | 再登録時に新たに発行される車検証。 | |
・ | 自賠責保険証明書 | 有効期間が車検有効期間をカバーしている必要あり。 | |
・ | 軽自動車税申告書 | 再登録後の課税情報を自治体へ届け出るための書類。 | |
・ | ナンバープレート交付申請書 | 再登録時に新しいナンバーを取得するために必要。 | |
・ | 本人確認書類 | 運転免許証やマイナンバーカードなど。 |
これらの書類は、軽自動車検査協会や市区町村窓口、保険会社、整備工場など複数の機関から入手・発行する必要があるため、計画的な準備が求められます。
手続きの流れ
再登録の流れは、以下のようなステップで進められます。
1. | 整備・点検 |
車両が安全に走行できる状態であることを確認します。整備工場で事前点検を行い、必要な整備や部品交換を実施します。 | |
2. | 自賠責保険への加入 |
車検を通す前に、有効期間が車検期間と一致する自賠責保険に加入しておく必要があります。 | |
3. | 車検の受検 |
軽自動車検査協会で、再登録に必要な継続検査(いわゆる新規車検)を受けます。合格すれば、検査合格票が交付されます。 | |
4. | 必要書類の提出 |
前述の必要書類をすべて揃えて、軽自動車検査協会の窓口で再登録申請を行います。 | |
5. | ナンバープレートの交付 |
再登録が受理されると、新たなナンバープレートが交付されます。取り付けを行えば、再び公道での使用が可能になります。 |
一時抹消登録証明書を紛失した場合は?
再登録時に必要な「一時抹消登録証明書」を紛失してしまった場合でも、再発行が可能です。ただし、所定の手続きを踏む必要があるため、注意が必要です。
再発行手続きの流れ
1. | 軽自動車検査協会に申請 |
再発行申請書(様式あり)を記入し、最寄りの検査協会に提出します。 | |
2. | 本人確認書類の提示 |
申請時には、本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード)を提示する必要があります。 | |
3. | 再発行費用 |
通常は数百円程度の手数料が必要です。詳細は各事務所により異なるため、事前に確認してください。 |
再発行には日数がかかることもあるため、紛失に気づいた時点ですぐに申請を行うことが重要です。なお、再発行された証明書には「再交付」の記載がなされますが、再登録手続きには通常通り使用可能です。
軽自動車の一時抹消に関するご相談は軽の森へ!
軽自動車の一時抹消は、制度の理解と正しい書類作成が求められます。少しでも不安がある方は、軽の森へご相談ください。
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