軽自動車には「4ナンバー」「5ナンバー」という2つのナンバー種別が存在します。
その違いは単なる数字だけではなく、構造、税金、車検の期間、保険、維持費、購入時の注意点など、多岐にわたる影響を及ぼします。特に4ナンバーは「貨物車」として扱われるため、コストパフォーマンスを重視する事業者や、アウトドアを楽しみたい個人ユーザーからも注目を集めています。
本記事では、4ナンバーの軽自動車の特徴や条件、5ナンバーとの違い、メリット・デメリット、選び方やおすすめ車種まで網羅的に解説します。
4ナンバーの軽自動車とは?

4ナンバーの軽自動車とは、「小型貨物自動車」として登録された軽自動車のことを指します。通常、配送業や建設業などの業務用に用いられることが多く、荷室の広さや積載量を重視した設計になっています。
近年では、趣味やアウトドア用途でも人気があり、快適性よりも実用性や維持費の安さを重視する層にも支持されています。
小型貨物自動車のこと
4ナンバーの軽自動車は、「小型貨物自動車」というカテゴリに分類されます。
軽トラックや軽バンなどが代表的な車種で、荷物の運搬や配送業務を主な目的とする構造となっています。車両のナンバーの最初の数字が「4」で始まることから、「4ナンバー車」と呼ばれます。
業務用としてだけでなく、最近ではアウトドア派のユーザーがDIYでキャンピングカーに改造したり、移動販売用の車両として活用したりと、個人利用のニーズも増えています。4ナンバーの特徴は、走行性能よりも荷物の積載性や耐久性に重点を置いた設計にあります。
4ナンバーに当てはまる車の定義
4ナンバー車として登録されるためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
特に重要なのは、貨物スペースの明確な確保と、荷物の積載が主用途であることです。
たとえば、後部座席が完全にフラットになる構造や、仕切り板があるなどの要件を満たさなければ、4ナンバーとしての登録は認められません。なお、構造変更をともなう場合は、陸運局での検査や申請も必要になります。
5ナンバーとの違いは?
4ナンバーと5ナンバーの主な違いは、車両の用途と構造、維持費や制度上の取り扱いにあります。以下に主要な違いを一覧にまとめます。
4ナンバー(貨物) | 5ナンバー(乗用) | |
用途 | 物運搬が主目的 | 人の移動が主目的 |
車検の期間 | 初回2年、以降毎年 | 初回3年、以降2年ごと |
軽自動車税 | 3,800円〜5,000円/年 | 10,800円/年 |
最大積載量 | 350kgまで |
制限なし |
シート構造 |
荷室重視 |
快適性重視 |
保険料 | 用途によっては高額化 | 安定傾向 |
つまり、4ナンバーは「維持費と実用性重視」、5ナンバーは「快適性と乗用用途重視」という位置付けです。
4ナンバーの軽自動車のメリット

4ナンバーの軽自動車には、「費用の安さ」「積載性の高さ」「構造のシンプルさ」といった、多くの実利的なメリットがあります。これは事業者だけでなく、個人ユーザーにとっても魅力的な要素です。
税金を抑えられる
4ナンバー軽自動車の最大の利点の一つが、税金の安さです。
具体的には、軽自動車税が自家用で年間5,000円、事業用ではわずか3,800円に設定されています。これは5ナンバーの自家用車(10,800円)に比べて約半額以下。
さらに車検時に支払う自動車重量税も、4ナンバーでは2年分で6,600円と、5ナンバーよりも安く設定されています。
このように、税負担が軽いことから、長期保有や複数台運用を前提とするユーザーにとって、4ナンバーは維持コストを抑える有力な選択肢となります。
自動車税の仕組みや税額、課税のタイミングを解説。
荷物を多く積める
4ナンバーは「貨物輸送用」として設計されているため、広大な荷室と高い積載性が備わっています。軽バンや軽トラックでは、リアシートを格納または取り外すことで、1,500〜1,800L以上の荷室容量を確保可能。加えて、最大積載量350kgまで対応できるため、大型の荷物や工具、資材なども無理なく収納できます。
配送業務や引越し、趣味のキャンプ用品の運搬など、多目的な場面で活用できる柔軟性があります。
シートアレンジやカスタマイズがしやすい
4ナンバー車は、内装や装備がシンプルで無駄がないため、自由なカスタマイズが可能です。床張り加工、収納棚の設置、ベッドキットの導入など、目的に応じて自分好みにアレンジできます。
最近では「バンライフ」や「車中泊」文化の広がりにより、キャンピング仕様に改造するユーザーも増加中。商用用途からレジャー活用まで、拡張性の高いベース車両として人気を集めています。
4ナンバーの軽自動車のデメリット

優れたコストパフォーマンスを持つ4ナンバー車にも、当然ながらいくつかのデメリットや制約があります。
購入前にしっかりと理解しておきましょう。
新車登録から2年後に車検がある
4ナンバー車の車検周期は、新車登録から2年、その後は毎年となっています。これに対し、5ナンバー車は初回3年、以降は2年ごとです。
頻度が高いため、車検のたびに整備・点検・費用が発生します。ただし、軽貨物車は構造が単純で、整備工賃や部品交換費が安価に済むことが多く、ユーザー車検を活用すればコストは大幅に抑えられます。また、毎年の点検により安全性を高く維持できるというメリットも存在します。
自賠責保険料・任意保険料が高くなることも
4ナンバー車は商用利用されるケースが多いため、保険会社によるリスク評価が高めに設定される傾向があります。
とくに、任意保険料は業務使用・年間走行距離・使用地域などにより変動しやすく、5ナンバーと比較して割高になることもあります。また、自賠責保険についても、1年ごとに更新が必要で、年間約14,280円(2024年度基準)が発生します。
車両価格だけでなく、保険料総額も含めた維持費計算が重要です。
4ナンバーの軽自動車を選ぶポイント!

軽貨物車の選定は、目的や使用環境によって大きく変わります。
下記の3つの視点から考えると、自分に合った車種選びがしやすくなります。
使用目的
仕事での配送、建築資材の運搬、移動販売、アウトドアなど、利用目的を最初に明確化することが最重要です。
商用メインであれば、積載性・燃費・耐久性が必須となります。一方、趣味・プライベート利用であれば、内装の快適性やカスタマイズ性も評価軸となります。都市部での運転が中心ならコンパクトさが、山間部なら4WD対応が求められるなど、目的ごとの優先順位を明確にしましょう。
積載量
4ナンバー車の最大積載量は350kgが上限ですが、実際には荷室の形状や使いやすさが積載性に直結します。
軽バンではリアシートを倒すことでフラットな荷室が確保され、軽トラックでは開放的な荷台が用意されています。重い工具を運ぶなら荷台床の強度が、食品配送なら断熱性能や衛生性が重要になります。ドアの開き方(スライド式、観音開き)なども、作業効率を左右する要素です。
燃費・走行性能
毎日走行する商用ユーザーにとって、燃費性能は維持費と直結します。同じガソリン車でも、エンジン設計や駆動方式(2WD・4WD)によって燃費は大きく異なります。
また、荷物を載せた状態での登坂性能や、悪路での安定性を求める場合には、トルク特性やサスペンション性能のチェックも不可欠です。WLTCモード燃費、カタログスペック、そして実燃費の口コミ評価を複合的に確認しましょう。
4ナンバーの軽自動車おすすめ3選!
4ナンバー車の中でも特に人気・実用性の高いモデルを3つ厳選し、それぞれの特長や使用シーン、維持費・保険・購入のしやすさをふまえて詳しく解説します。
【ダイハツ】ハイゼットカーゴ

全長×全幅×全高㎜ | 3,395×1,475×1,890 |
荷室寸法(長×幅×高)㎜ | 1,820-1,915×1,265-1,270×1,225-1,250 |
燃料消費率 | WLTCモード14.7-15.6㎞/L |
メーカー希望小売価格 | 1,100,000円~ |
中古車相場 | 34万円~122.8万円 |
中古車相場参照:カーセンサー
ダイハツが誇る軽バンの代表格。最大積載量は350kgで、広い荷室空間(荷室長1,915mm、荷室幅1,270mm)を確保しています。
エンジンは自然吸気とターボから選べ、4WDもラインナップされており、雪道や山道でも安定した走行が可能。スマートアシスト機能などの安全装備も充実し、配送業者や工務店などの事業者から高評価を得ています。
また、商用ベースながら燃費性能も良好(WLTCモード:14.7〜15.6km/L)で、維持費・費用面でも非常に優秀。中古車流通も多く、購入や保険の相談もしやすい点が魅力です。
【スズキ】エブリイ

全長×全幅×全高㎜ | 3,395×1,475×1,895 |
荷室寸法(長×幅×高)㎜ | 1,820-1,910×1,280-1,320×1,240 |
燃料消費率 | WLTCモード14.6-17.2㎞/L |
メーカー希望小売価格 | 1,137,400円~ |
中古車相場 | 21万円~120.7万円 |
中古車相場参照:カーセンサー
スズキのエブリイは、軽バンカテゴリでトップクラスの実績を誇る人気モデルです。室内高1,240mmと荷室の高さがあり、背の高い荷物でも余裕で積載可能。荷室幅・長さも十分で、配送用途においては荷室容量に不満を感じることはほぼありません。
加えて、ターボエンジン搭載モデルでは、高速道路での合流や山道の走行もストレスなく行えるパワフルな走りを実現。4WD仕様も充実しており、悪路・雪道でも安心して運転できます。また、後席格納が簡単でフルフラットになるため、アウトドアや車中泊用として購入する個人ユーザーにも支持されています。
選び方のポイントや注意点などを解説
【ダイハツ】ハイゼットトラック

全長×全幅×全高㎜ | 3,395×1,475×1,780-1,885 |
荷台寸法(長×幅×高)㎜ | 1,650-1,940×1,410×285 |
燃料消費率 | WLTCモード15.6-16.5㎞/L |
メーカー希望小売価格 | 1,028,500円~ |
中古車相場 | 35.8万円~117.6万円 |
中古車相場参照:カーセンサー
軽トラックを代表する1台。農業・建設業・設備業など、多くの現場で活躍しています。
最大の特徴は荷台の使い勝手の良さ。フルフラットの荷台は三方開き仕様で、フォークリフトなどを使った積み下ろしにも対応。耐久性に優れた足回りと、業務用タイヤの装着で長寿命設計が施されています。
燃費性能も15.6〜16.5km/Lと、軽トラの中でも安定した性能を発揮。法人・個人を問わず「とにかく荷物を積みたい」人にとって間違いのない選択肢です。メンテナンス費も安く、年間維持コストをしっかり抑えたい方におすすめです。
軽トラの解説と人気車種をご紹介します!
軽自動車を4ナンバー化できる?

5ナンバーの軽自動車を4ナンバー化することはできるのでしょうか?
条件を満たせば可能
現在所有している5ナンバーの軽自動車を、4ナンバー車に構造変更することは可能です。
ただし、以下の条件をクリアする必要があります。
これらを満たせば、個人の車でも4ナンバーとして再登録が可能です。
4ナンバー化する際の注意点
注意点
改造が不適切だと認められない、違法改造とみなされるリスクがある。車両を4ナンバー化する際には、「違法改造」とみなされないよう法令に基づいた改造が必要です。
たとえば、後席シートを単に外しただけでは、貨物スペースとして十分と判断されない可能性があります。また、構造変更後には指定工場での車検や陸運支局での実車確認が求められます。
さらに、保険の契約内容も用途変更に応じて再契約が必要となるため、保険会社への事前確認も欠かせません。不備があると保険が適用されない可能性があるため、専門業者と連携した改造が安全です。
4ナンバー化するメリット
これらの点で、4ナンバー化は費用と利便性の両面で大きな恩恵を得られます。
4ナンバー化するデメリット
このように、安易な4ナンバー化にはリスクも伴うため、慎重な検討と専門家の関与が必要です。
4ナンバーの軽自動車に関するご相談は軽の森へ!
4ナンバーの軽自動車は、維持費の低さや積載性の高さ、改造の柔軟性など、多くの利点を持っています。一方で、登録条件や法的な規制、保険の契約など専門的な知識も必要となります。
「自分に最適な車種を選びたい」「税金・保険面を相談したい」「4ナンバー化を検討しているが不安がある」など、少しでも疑問があれば、ぜひ「軽の森」までご相談ください。専門スタッフが購入・保険・車検・カスタマイズまでトータルにサポートし、最適なカーライフをご提案いたします。
スズキ(エブリイ)