軽自動車は日常の移動手段として多くの方に利用されていますが、「荷物をどれだけ積めるのか」という積載量の問題は見落とされがちです。とくに商用や引っ越しなどで大量の荷物を積む場合、最大積載量のルールを知らずにオーバーしてしまうと法律違反になる可能性もあります。
そこで本記事では、軽自動車の積載量に関するルールや違反リスク、積載性の高いおすすめもでるまで詳しく解説します。
軽自動車の積載量に関するルール

軽自動車の積載量には明確な法的制限があり、特に軽バンなどの貨物車両では最大積載量350kgまでと決められています。自家用車と商用車ではこの規定が異なり、用途に応じて積載可能な重量が変わります。
ここからは、軽自動車の積載量に関するルールについて見ていきましょう。
軽自動車の最大積載量は350kg
軽貨物車(4ナンバー)として登録されている軽自動車には、法律で最大積載量が350kgまでと定められています。これは車両総重量から車両重量と乗車定員を差し引いた残りの重量で、荷物専用スペースに積める最大重量を指します。
軽自動車のなかでも「軽バン」と呼ばれるボックスタイプの車両は、この積載上限に対応するよう設計されており、配送業や建設業など荷物を運ぶ職種で重宝されています。
なお、燃費とのバランスも重視されており、積載量が多いほど燃費が悪化する傾向もあるため注意が必要です。
自家用車として乗る場合は規定が異なる
自家用登録された軽自動車(5ナンバー)は、あくまで人を乗せることが前提となっているため、積載量に関する明確な上限は表示されていません。ただし、実際には後部座席を倒して荷物を積んだ場合でも、200kg程度が目安とされています。
それ以上積載すると車体のバランスが崩れたり、ブレーキ性能が低下したりと安全面でのリスクが増してしまいます。また、車検証に記載されていない積載行為を行った場合、事故を起こしてしまった際の保険適用にも影響する恐れがあります。
そのため、荷物を多く積みたい場合は、乗用タイプではなく軽貨物車両を選ぶのが無難です。
積載量に制限がある理由
軽自動車に積載制限が設けられているのは、安全性と法令順守の観点からです。まず、過積載になると車体に対する負荷が大きくなり、ハンドリング性能や制御力が著しく低下します。
とくに雨天時や坂道での走行では、事故リスクが高まる要因となります。さらに、積載オーバーは燃費の悪化にもつながり、経済的な負担も大きくなります。
また、過積載は道路の損傷を招くため、社会的コストも発生します。
普通車の最大積載量は?
普通車(1ナンバーや3ナンバーなど)は軽自動車よりも積載性能に優れています。たとえば、商用バンの1ナンバー車両では、最大積載量が600~1,000kgと大幅に上がります。貨物専用として設計されているため、車体剛性やサスペンションも強化されており、重量物の運搬にも耐えられます。
一方で、3ナンバーの乗用車では積載量の明記がなく、あくまで「人を安全に運ぶこと」が主目的です。そのため、積載スペースの形状や高さは重視されておらず、大きな荷物の積載には不向きです。荷物重視であれば、普通車でもバンタイプが適しています。
軽自動車の最大積載量をオーバーするのは違反?

軽自動車の最大積載量をオーバーする行為は、法律で禁止されている「過積載違反」に該当します。実際に違反が取り締まられた例も存在し、罰則や反則金の対象となります。安全性にも深く関わるため、積載制限の順守は重要です。
ここからは、軽自動車の最大積載量をオーバーする「過積載違反」について詳しく解説します。
法律違反となり罰せられる
軽自動車の積載量オーバーは道路交通法第57条に違反し、「過積載」として取り締まりの対象になります。積載量を超えて走行することは、車両の安定性や制動距離に悪影響を及ぼし、重大事故につながるリスクがあるため、厳しい罰則が設けられています。
実際の罰則内容は以下の通りです。
・反則金:普通車で7,000円、貨物車で12,000円(過積載割合によって変動)
・違反点数:最大3点(過積載割合によって変動)
・事業用車両の場合:使用車や運転管理者も罰則の対象
とくに業務利用での違反は、事業者責任が問われるだけでなく、運送許可の取り消しや行政指導を受けるケースもあるため、管理体制の徹底が求められます。私用であっても事故時の責任は重くなるため、一般ドライバーにとっても無視できない問題です。
取り締まりされたケースもある
過去には、軽自動車で引っ越し用に過剰な家電や家具を積載していた運転者が、重量オーバーで警察により摘発された事例もあります。このケースでは、明らかに車高が下がっており、後輪が沈んでいたことから、視覚的な異常で発覚しました。
また、企業が複数台の軽バンで配送を行っていた際、計画的な積載オーバーがあったとして監督責任がある経営者にも罰則が科せられた例もあります。こうした事例からもわかるように、軽自動車の積載量は厳密に守る必要があります。
許可を得ると規格よりも積載が可能
一部のケースでは、行政機関からの「特例許可」や「道路使用許可」を取得することで、一時的に法定以上の積載が認められることがあります。たとえば、建設資材や展示会用品など、一時的かつ必要性のある運搬については、所轄の警察署で手続きを行うことで認められることがあります。
許可を得るための条件 |
・安全措置(固定器具・表示灯など)が講じられている |
このような許可は、恒例的な積載オーバーには適用できないため、業務利用や長期使用には別の車種への切り替えが推奨されます。
はみ出して積載する場合も制限がある
積載物が車体からはみ出す場合にも、厳格な規定が設けられています。とくに、積載物の「長さ」「幅」「高さ」によって、安全性が大きく左右されるため、以下のようなルールが適用されます。
積載方向 | はみ出し許容範囲 |
前方 | 原則禁止 |
後方 | 車体全長の10%まで |
側方 |
各側から0.3m以内 |
高さ | 地上から2.5m以下(軽自動車の場合) |
これを超える場合は、表示板や赤旗の掲示が義務となり、許可が必要になる場合もあります。また、積載物が落下した場合には、道路交通法だけでなく、民事責任・刑事責任を問われる可能性もあるため、運搬には細心の注意が必要です。
積載量で軽自動車を選ぶならここもチェック!

「荷物が多いから積載量が多い車を」と考える人は少なくありませんが、実際の使い勝手は積載量だけでは判断できません。荷室の形状やシートアレンジ、荷物の出し入れのしやすさなど、実用面でのポイントもあわせて確認することが重要です。
荷室の広さ
軽自動車を選ぶ際、荷室の広さは積載量以上に実用性を左右する要素です。最大積載量が同じでも、床面積や天井高、開口部の形状によって、実際に積める荷物の種類や数は大きく変わってきます。
たとえば、背の高い荷物を積みたい場合は、天井高がある軽ワンボックス型がおすすめです。また、荷物の段差が少ないフラットフロア設計であれば、大きくて重い荷物の積み下ろしもスムーズになります。業務用だけでなく、アウトドアや買い物用途でも荷室の使い勝手は重要です。
シートアレンジ
軽自動車の多くは、後席のシートアレンジによって荷室容量を柔軟に変えられる設計になっています。たとえば「ダイブダウン式」や「チップアップ式」などの機能があれば、乗車人数に応じて自由に荷室空間を拡張できます。
また、6:4分割シートなどを採用していれば、片側だけ倒して長尺物を積むと同時に人も乗せられます。これにより、「人」も「荷物」も両立できる活用が可能になります。特にファミリー層には、シート展開の柔軟性がある車両が人気です。
荷物の積みやすさ
積載量だけでなく、「荷物の積みやすさ」も車選びでは重要な要素です。スライドドアが両側にあれば、狭い駐車場でも荷物を出し入れしやすくなります。また、リアゲートの地上高が低い設計であれば、思い荷物でも力をかけずに積み込めます。
さらに、荷室内の照明やフック、床の滑り止め加工なども確認ポイントです。これらの細かな工夫によって、日常の利便性は大きく変わります。とくに女性や高齢者の方には、体への負担が少ない設計が選ばれています。
荷物をたくさん積める軽自動車おすすめ7選!
ここでは、荷物をたくさん積める軽自動車のおすすめ車種を7台厳選し、タイプ別に紹介します。軽バン・軽ワンボックス・スーパーハイトワゴンの3つのカテゴリーに分けて、それぞれの積載性や燃費、使いやすさに注目しながら解説します。
軽ワンボックスカーのおすすめモデル
荷室の高さと奥行に優れ、最大積載量350kgを誇るのが軽ワンボックスの特徴です。業務用や配送用途にも活躍する信頼性の高いモデルが揃っています。
【スズキ】エブリイ

車体寸法 | 3395×1475×1895 |
荷室寸法 | 1820×1280×1240 |
最大積載量 | 350kg |
燃費性能 (WLTCモード) |
15.1km/L |
新車時価格 |
1,137,400円~ |
中古車相場※ | 121.1万円 |
※出典:カーセンサー公式サイト
スズキが生産・販売するエブリイは、商用軽バンの代表格です。最大積載量350kgを確保しつつ、荷室長1,910mm、荷室高1,240mmという広々としたスペースを誇ります。
リアシートは簡単に折りたたみが可能で、完全なフラットフロアも実現。荷物の積みやすさも抜群で、スライドドア付きの設計も好評です。
さらに、ターボエンジン搭載車なら重い荷物を積んでも加速がスムーズで、坂道もストレスなく走行できます。燃費性能はWLTCモードで約17.2km/Lと経済的です。
【ダイハツ】アトレー

車体寸法 | 3395×1475×1890 |
荷室寸法 |
1820×1265×1215 |
最大積載量 |
350kg |
燃費性能 (WLTCモード) |
14.7km/L |
新車時価格 | 1,639,000円~ |
中古車相場※ | 60.9万円 |
※出典:カーセンサー公式サイト
アトレーは、ダイハツが誇るハイルーフ軽バンです。最大積載量350kgで、業務用としてだけでなく、レジャー利用にも人気があります。
特に車内高が高いため、背の高い荷物やアウトドア用品も余裕で積載が可能です。荷室長も2,000mm近くあり、長尺物の積載にも対応します。
助手席を前倒しにすることでさらにスペースが広がり、自転車も積めるレベルの広い空間を確保します。スマートアシストなどの安全機能も充実しており、運転初心者にも安心です。
【ダイハツ】ハイゼットカーゴ

車体寸法 | 3395×1475×1890 |
車内寸法 | 1820×1265×1225 |
最大積載量 | 350kg |
燃費性能 (WLTCモード) |
14.9km/L |
新車時価格 | 1,100,000円~ |
中古車相場※ | 122.9万円 |
※出典:カーセンサー公式サイト
ハイゼットカーゴは、使いやすさに優れた軽バンとして長年業界で高いシェアを誇っています。最大積載量350kgに加え、床面積が広くスクエアな荷室設計で、荷物の整理がしやすいことが特徴です。
荷室長1,965mm、荷室高1,225mmとスペックも高水準で、木材や工具などの運搬に最適です。燃費もWLTCモードで18km/Lと、燃料代を抑えたい方にも嬉しいポイントでしょう。法人利用での導入も多く、軽バンランキングでは常に上位にランクインしています。
軽バンのおすすめモデル
軽バンは、商用に特化した設計で最大積載量350kgに対応し、車両価格や維持費も抑えられるコスパの高い車種です。特に配送や移動販売など、「荷物を積むことが多い人」におすすめです。
【日産】クリッパーバン

車体寸法 | 3395×1475×1895 |
車内寸法 | 1820×1280×1240 |
最大積載量 | 350kg |
燃費性能 (WLTCモード) |
15.1km/L |
新車時価格 | 1,333,200円~ |
中古車相場※ | 79.2万円 |
※出典:カーセンサー公式サイト
クリッパーバンは、スズキ・エブリイのOEM車として日産から販売されているモデルです。エブリイ同様、最大積載量350kgに対応し、荷室も広く設計されています。
エンジン性能も十分で、市街地や高速道路でも安定した走行が可能です。リアシートは跳ね上げ式で、使い勝手が良く、シンプルな操作で積載空間を最大化できます。
さらに、小回り性能が優れており、最小回転半径はわずか4.1m。都市部での使用や狭い場所での取り回しに強い車種です。
【ホンダ】N-VAN

車体寸法 | 3395×1475×1945 |
車内寸法 | 1510×1235×1370 |
最大積載量 | 350kg |
燃費性能 (WLTCモード) |
17.4km/L |
新車時価格 | 1,365,100円~ |
中古車相場※ | 140.5万円 |
※出典:カーセンサー公式サイト
N-VANはホンダが独自開発した商用軽バンで、ほかの軽バンとは一線を画すデザインと機能性を誇ります。最大積載量350kgに対応しつつ、助手席が完全に床下に収納される「ダイブダウン機構」により、長尺物の積載性は圧倒的です。
さらに、安全装備のHonda SENSINGを全グレードに搭載し、衝突被害ブレーキや車線遺児支援などが標準装備。積載性と安全性を両立したモデルです。
軽スーパーハイトワゴンのおすすめモデル
軽スーパーハイトワゴンは、「人も荷物も乗せたい」というニーズを満たすバランス型です。後席を倒すことで大きな荷物も積め、普段使いから
【ホンダ】N-BOX

車体寸法 |
3395×1475×1790 |
車内寸法 | 2125×1350×1400 |
燃費性能 (WLTCモード) |
21.6km/L |
新車時価格 | 1,739,100円~ |
中古車相場※ | 174.5万円 |
※出典:カーセンサー公式サイト
N-BOXは軽自動車販売台数ランキングで常に上位にランクインする人気モデルです。室内高が1,400mmを超え、後席を倒すことで荷室がフラットになります。
大型のスーツケースやベビーカーも余裕で積載できます。また、スライドドアによる乗降性の高さも魅力で、高齢者や子育て世帯からの支持も高いです。
安全性能も高く、Honda SENSINGによる衝突回避支援、踏み間違い防止などが全車標準装備。積載性や快適性、安全性を兼ね備えた万能タイプです。
【三菱】ekスペース

車体寸法 | 3395×1475×1780 |
車内寸法 | 2200×1335×1390 |
燃費性能 (WLTCモード) |
20.9km/L |
新車時価格 | 1,580,700円~ |
中古車相場※ | 130.6万円 |
※出典:カーセンサー公式サイト
ekスペースは三菱自動車が販売する軽スーパーハイトワゴンで、積載と快適性を両立した設計が特徴です。荷室の床が低く設計されており、大きな荷物の積み降ろしもラクに行えます。
後席を倒せば、フラットで広い荷室空間が出現し、高さにも余裕があるため収納力に優れます。また、燃費はWLTCモードで20km/L超と非常に経済的。自家用でも荷物をたくさん積む機会が多い人にとって、使い勝手の良い1台と言えるでしょう。
軽自動車の積載量に関するご相談は軽の森へ!
軽自動車を選ぶ際に重要なのは、「どれだけ荷物を積めるか」というポイントです。しかし、積載量は単に数値だけでなく、荷物の形状やシートアレンジ、安全性、燃費など多くの要素が絡み合います。
これまで最大積載量や違反リスク、積載性に優れた車種を解説しましたが、それでも「自分に合う車がわからない」と感じる方も多いはずです。
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