中古の軽自動車をお探しの方の中には、中古車検索サイトや販売店などで「現状渡し」と書かれている車を見たことがある人もいるかもしれません。
「現状渡し」とは、一体どのような状態の車のことを指すのでしょうか?
この記事では、中古軽自動車の「現状渡し」を購入する際の、メリットや注意点などを詳しく解説していきたいと思います。
中古軽自動車の現状渡しと整備渡しの違いとは?
中古車販売店や中古車検索サイトなどで表示されている項目のなかに、「現状渡し」や「整備渡し」と表示のある中古車があります。
中古車が販売されている時の情報には、『走行距離』『年式』『内外装の汚れや損傷の状態』『修復歴の有無』などがあります。これらは中古車がどのような状態かを表すもので、販売価格にも影響するのでしっかりと明記されています。
ですが「現状渡し」と「整備渡し」については、実際にどういうことなのか、どこが違うのかよく分からない方もいらっしゃると思います。
ここでは、「現状渡し」と「整備渡し」とはそれぞれどういう状態のことを指すのか、それぞれの相違点についてもご説明致します。
中古車の現状渡し
「現状渡し」とは中古車を、「仕入れてきたまま、整備や点検など何も行わず販売すること」を指します。
中古車販売店が中古車を仕入れる際は、業者向けのオークションやディーラーの新車販売の下取り車、レンタカー引き上げ車、リースアップ車など、様々なところから様々な状態の車を仕入れます。
中古車はコンディションがバラバラで、どんな状態なのかは一台一台違います。「現状渡し」は仕入れてきたまま何もしない状態で販売するので、修理するべきところがあったとしても修理はしませんし、もとより点検もしないので故障している箇所があるかどうかも分からない状態ということです。保証もありません。
ですから購入後すぐに不具合が生じて修理しなければならない…という可能性もあります。
非常に不安な状態の車ではありますが、その分ほかの車体に比べて価格がかなり安く設定されている場合が多いです。とにかく安い車が欲しいという方にはぴったりの車と言えます。
中古車の整備渡し
「整備渡し」とは中古車を、「販売店が納車前に整備を行ってから販売すること」を指します。
仕入れてきたまま何もしない状態の中古車は、安全に使用することができるのか不明確な状態です。そこで、中古車をきちんとチェックし問題があれば整備してから納車すれば、納車後の故障などのトラブルを事前に防ぐことができます。
中古車の整備で重視すべきポイントは消耗品の交換です。エンジンオイルやブレーキオイルなどは時が経つにつれ劣化していきます。エンジンオイルフィルターなどのフィルター関係の部品も、中古車だと劣化している可能性が高いです。
販売店が行う整備は、それぞれの販売店でどこまで行っているのか異なるので、どんな整備をして販売しているのかは事前に契約書などで確認しておくことが大切です。
中古軽自動車を現状渡しで購入するメリット
整備もされておらず保証もない現状渡しの中古車は、一見不安な要素しかないように思えます。しかしそんな現状渡しの中古車にも需要はあります。
では、現状渡しの中古軽自動車を購入するメリットとはどのようなところなのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
相場よりも安く購入できる
一番のメリットは、相場よりも安く購入できるというところです。保証もつかなく整備もされていないというリスクもありますが、中古軽自動車の一般的な相場価格よりも安く販売されています。
中古軽自動車の相場
約30万円~150万円(平均 約100万円)※中古車相場、平均価格の情報はカーセンサー・グーネットを参照。
中古軽自動車の価格相場は、大体30万円~150万円の間です。
新車価格の相場が約86万円~304万円なので、中古車だとお得に購入することができますが、「現状渡し」の中古軽自動車はこの価格よりもさらに安く購入することができます。
当然ながら故障すれば費用がかかるのは覚悟しなければなりませんが、現状渡しだからといって必ずしもすぐに故障するとは限りません。長い期間故障しない可能性だってあります。すぐに故障する・しないはバクチにはなりますが、できるだけ費用を抑えて中古車を購入したい人にとってはメリットです。
カスタマイズする車に利用しやすい
次にメリットとして、カスタマイズする車に利用しやすい点が挙げられます。
車のカスタムとは、車を自分好みに改造して世界に一台しかない車に仕立てることです。レース系やラグジュアリー系、アウトドア系など、カスタムカーには様々な種類があります。
車のカスタム時に利用するベースの車として購入する分には、整備がされていない車でも問題ありません。自分で車を改造するぐらいなので自分で整備もできるという人が多いため、多少不具合があっても直すことができるからです。
また、例えばレース系のベース車にする場合、普通の車に要求される性能などは必要ないため、現状渡しの車でも十分なのです。
このように自分で整備が出来たり、用途が決まっているなどの場合は、車の本体価格が安い現状渡しの車はメリットがあると言えます。
中古軽自動車を現状渡しで購入するときの注意点
現状渡しの中古軽自動車を購入する時の注意点としては、購入後に車に何かあっても原則自己責任で対処しなければならない点です。
価格の安い現状渡しの中古車を買ったつもりが、購入後のトラブルで費用がかさみ、結局は総じて高い費用がかかってしまったということもあります。
現状渡しの中古軽自動車を検討するときには、以下の3つの注意点に気を付けましょう。
故障したら保証がないため自己負担
現状渡しの中古車には基本的に保証はついていません。ですから購入してしまった後に車に不具合、故障などが生じても、自己負担で修理に出すということになります。
保証付きとなっている現状渡しの中古車でも、保証内容はしっかりと確認するようにしましょう。走行距離に上限があったり、エンジンやブレーキ、ミッションなど走行するのに目立って影響が及ぶ箇所は保証対象となりますが、装備品などは対象外であったりと保証範囲を限定している場合もあります。
ゆえに、現状渡しの中古車を購入するならば日常点検をマメに行い、不具合が出にくい状態を維持させておくことを意識しておきましょう。
何かあったときに保証がないのが不安だ…と思う方は、整備渡しや保証のきちんと付いている中古車を選ぶことをオススメします。
自分で車検に出す必要があるケースも
現状渡しの車は”仕入れた状態そのままで販売”しているため、車検が付いているものもあれば付いていないものもあります。
現状渡しの車を購入する際には、必ず車検がどれだけ残っているのか確認するようにしましょう。現状渡しの車は車検が切れていても車検を行いません。そのため車検切れの車を購入したら購入後に自分で車検に出す必要がありますが、その場合当然車検の費用がかかります。
加えて車検の切れている車は公道を走ることができないので、積載車に乗せて車検を受ける施設に運ぶことになり、移動費がかかります。車検代プラス移動費となるので費用はかさみます。
車検の切れた中古車を購入するのなら、販売店で車検を通すことができるか確認し、できるなら納車前に行ってもらうようにしましょう。そうすれば余計な費用はかかりません。
外車や高級車などの車種は避ける
現状渡しの中古車は価格が安いので、新車で購入するのには高額で手が出せない外車や高級車などが販売されていたら、「お買い得だ!」と思い購入したくなるかもしれません。
ですがいくらお買い得だとしても、外車や高級車などの車種は避けたほうが賢明です。なぜならば外車や高級車は、故障した際に相当な費用がかかるからです。
外車の部品等は国内ではなく海外から輸送費をかけて取り寄せることが多いため、費用が高くなります。
また、市場の流通量が多い大衆車は中古部品なども揃っている場合が多く部品調達は簡単ですが、希少価値のある高級車は特殊な部品を使用していたりするため部品調達が困難で、その分費用が高くなります。
このことから外車や高級車を中古で購入するならば、ある程度の保証が付いているものでないとおすすめできません。
中古軽自動車の現状渡しで知っておくべき「瑕疵担保責任」とは?
「瑕疵担保責任」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
「瑕疵(かし)」は、欠点や傷を指す言葉ですが、車の場合は傷だけでなく不具合全般を表します。瑕疵と判断される基準は、『基本的に常識的な機能を有しているか、通常の注意力で見分けることができるか』です。
車に公道を走行する前提で最低限の走行機能が備わっているかは事前に確認することが必須です。もし不具合やリスクがあることを知らずに中古車を購入し、使用できなくなったり高額な修理費がかかるようであれば損害となります。買主が不利益を被ってしまったときに保護する法律が「瑕疵担保責任」です。
車の売買における瑕疵担保責任
保証なしの現状渡しと言えど、車の状態に関して売主が買主に十分な説明をしないまま販売された場合、販売店に対して「瑕疵担保責任」を問うことができ、売買契約をしてから1年以内であれば契約の解除や損害賠償請求をすることが出来ます。
これは売主が故意ではない場合の過失でも対象となり、無過失責任と呼ばれています。例えば販売した中古車が、以前に事故を起こした事故車だったことを売主が知らなくて販売した場合でも、売主に瑕疵担保責任が発生するということです。
現在は「契約不適合責任」に改定
2020年4月から、「瑕疵担保責任」に代わるものとして「契約不適合責任」の施行がスタートしました。
大きな変更点は『故意ではない無過失責任は問われなくなり、売主が過失を知っていたにも関わらず隠していた場合に損害賠償請求ができる』となったことです。
このため、販売店が車の不具合を知らずに販売した場合は、無過失責任は問われないということに気を付けてください。
販売店側でも後々のトラブルを避けるため「この中古車はここに問題点があるから安く販売しています」と不具合についてしっかり説明する場合が多いです。現状渡しの中古車購入時には、とりわけ注意して販売店側の説明を聞くことが大事です。
現状渡しで狙い目の中古軽自動車
メリットもあればリスクもある現状渡しの中古軽自動車。どんな現状渡しの車を選べばいいのか迷われますよね。そこで現状渡しでもおすすめできる中古軽自動車をご紹介したいと思います。
走行距離が少ない車
走行距離が少ない車は、例外もありますが大多数が年式の新しいクルマであることが多いです。
年式が新しければ部品類などもまだ新しく、エンジンなど内部の機械類もダメージをあまり受けていない可能性が高いです。つまり故障しにくい車だと言えるので、整備なし・保証なしの現状渡しの車でもリスクを抑えることができます。
また、軽自動車はもともと実用性を重視しているため、初期品質が高く故障が少ない車種と言われています。定期的なメンテナンスをきちんと行い、必要な部品交換を行うことで大きな故障なく長く乗り続けることができます。
車両本体価格10万円台の車
車両本体価格が10万円台というとかなり格安の車です。
何故このような格安の車が販売しているかというと、保証や整備代を上乗せすると本体価格が上がり、お得な車にならないので現状渡しとして販売されることが多いようです。
価格がこれだけ安ければ故障したとしても「10万円台だしねー」と割り切ることができますよね。
また10万円台だからといってすぐに壊れるかと言ったらそれは運次第なので、もしかしたらすごく長持ちするかもしれません。そうなればとてもお得な車ですし、とりあえず乗ることができたらいいという考えの方には狙い目の車と言えます。
現状渡しでもおすすめの車種
整備がされていなく故障などの心配がある現状渡しの中古軽自動車ですが、軽自動車は他の車と比べ耐久性が高く故障しにくいと言われています。
そんな軽自動車のなかでも、特に故障や不具合による指摘が少ないとされている車種があります。絶対に不具合が起こらない!とは言い切れませんが、現状渡しの中古車を選ぶ上で少しでも故障しにくいと言われている車種を選んでおけば気持ち的にも安心ですよね。
そこで、故障しにくいと言われている軽自動車3車種をご紹介します。
*日本自動車耐久品質調査を行っている団体「株式会社 J.D.POWER」の行った、2023年日本自動車初期品質調査結果を元に紹介しています。
参考サイト:https://japan.jdpower.com/ja
ダイハツ/ミライース
基本スペック | |
全長 ㎜ | 3,395/1,475/1,500~ |
室内寸法 ㎜ | 1,935~/1,345/1,240 |
車両重量 ㎏ | 650~ |
燃料消費率(WLTCモード) | 23.2㎞/L~25.0㎞/L |
新車価格 | 860,200円~ |
中古車相場 | 5.5万円~142万円 |
ダイハツは主に軽自動車の製造ブランドとして知られているメーカーですが、初期品質が高く故障が少ない、不具合による指摘が少ないという評価で1位を獲得しているメーカーです。
その中の軽セダン部門で第一位なのがミライースです。
新車でも100万円以下で購入できる「低価格設定」、エコ技術『イーステクノロジー』による優れた「低燃費性」と「走行性能」が魅力のミライース。
また、車体に樹脂パーツを採用し大きく軽量化することに成功。Dモノコックによる高剛性化により軽量なのに頑丈な骨格は、優れた操縦安定性、静粛性、乗り心地も両立しています。
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ホンダ/N-WGN
基本スペック | |
全長 ㎜ | 3,395/1,475/1,675~ |
室内寸法 ㎜ | 2,055~/1,350/1,300 |
車両重量 ㎏ | 850~ |
燃料消費率(WLTCモード) | 20.0㎞/L~23.2㎞/L |
新車価格 | 1,317,800円~ |
中古車相場 | 14万~191万円 |
ホンダも初期品質が高く不具合による指摘が少ないメーカーとして、ダイハツと同率1位を獲得しているメーカーです。自動車製造の技術力の高さや、クルマづくりへの熱意・研究熱心さでも知られているメーカーです。
現在のホンダの軽自動車の主軸となっている”Nシリーズ”は、燃料タンクを前席下に配置し広い車内空間を確保。またグレードによって安全装備を簡略化することをなくし、Nシリーズでは全車に予防安全性能「Honda SENSING」を標準装備しています。
そんなNシリーズのなかでも、故障しにくい車として軽ハイトワゴン1位を獲得したのがN-WGNです。N-WGNは他のNシリーズに比べ安価ですが車内の広さは十分にあり、「急アクセル抑制機能」や「オートブレーキホールド機能」などの機能面が充実しています。
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スズキ/ワゴンR
基本スペック | |
全長 ㎜ | 3,395/1,475/1,650 |
室内寸法 ㎜ | 2,450~/1,355/1,265 |
車両重量 ㎏ | 750~ |
燃料消費率(WLTCモード) | 23.2㎞/L~25.2㎞/L |
新車価格 | 1,296,900円~ |
中古車相場 | 4万~180万円 |
故障の少ない軽自動車メーカーとしてはダイハツ、ホンダには若干及ばずも大差はないスズキ。
スズキの魅力には、ライフスタイルに寄り添った豊富なラインナップとリーズナブルな車体価格、独自技術の「S-エネチャージ」、またはマイルドハイブリッドシステムによる低燃費性があります。
なかでも「ワゴンR」は、1993年に初代が発売されてからスズキの長期に渡るヒット作として有名な軽自動車です。室内空間の広さとマイルドハイブリッドによる低燃費性が人気で、リコールや装備済の部品や用品などからの故障事例が少なく、故障しにくい軽自動車でもあります。
多彩なシートアレンジや豊富なカラーバリエーション、日常使いにちょうどいい小回り性能の良さや安定した走行性が、どんな世代の方にも支持されるクルマです。
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格安で中古軽自動車を手に入れることができる可能性のある「現状渡し」ですが、保証が付いていなかったり、もしかしたらすぐに故障するかもしれない等のリスクもあります。
「現状渡し」の中古車を選ぶ際には今回ご紹介した注意点をよく理解し、どんな理由で現状渡しで中古車を売っているのか、どこに不具合が出やすいのか等の情報の聞き取りを販売店にしっかりと行い、納得した上で購入するようにしましょう。
もし少しでも不安な要素があれば、保証が付いている中古車や整備渡しの中古車を選ぶのが賢明です。
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