「軽自動車でディーゼルエンジンはあるのか?」と検索しても、該当するモデルが見つけられないことを疑問に思った方も多いのではないでしょうか。
現在の国内市場では、ディーゼルエンジンを搭載した軽自動車は存在していません。その背景には、さまざまな技術的や法的、経済的な理由があります。
そこでこの記事では、その理由や今注目されている電気自動車(EV)への移行についても詳しく解説します。
ディーゼルエンジンの軽自動車はなぜない?
現在の日本国内では、ディーゼルエンジンを搭載した軽自動車は販売されていません。過去には軽トラックで使用された例もありましたが、現在は完全に姿を消しており、その背景には過去の歴史や法規制、技術的な課題が関係しています。
かつては軽トラで販売されていた!
過去には、軽トラック分野においてディーゼルエンジンを搭載したモデルが存在していました。特に1980年代から1990年代にかけて、一部のメーカーは業務用としての利便性を重視し、ディーゼル仕様の軽トラックを販売していた実績があります。
たとえば、スズキの軽トラック「キャリイ」シリーズには一時期、ディーゼルエンジンを搭載したモデルを搭載したモデルも存在しました。しかし、現在ではこうしたモデルは新型として販売されておらず、中古市場でもほとんど流通していません。
その理由は、以下で紹介するようなコストや排気規制などの複雑な要因が絡んでいるからです。
ディーゼルエンジンの軽自動車が発売されない理由
ディーゼル軽自動車が現代で製造・販売されていない理由は、「コスト・規制・快適性」の3つのポイントに大きく分けられます。
ここからは、ディーゼルエンジンの軽自動車が発売されていない理由について見ていきましょう。
開発コストの負担が大きい
ディーゼルエンジンはその構造上、ガソリンエンジンよりも複雑で高価な部品を使用することが多く、開発費用も高くなってしまいがちです。さらに、近年の排出ガス規制に対応するための、クリーンディーゼル技術を軽自動車に適用するには、車両価格が跳ね上がる懸念があります。
軽自動車は「お求めやすい価格と安い維持費」というイメージが強く、家族の送迎用やセカンドカーなど、コストパフォーマンスが重要視される車です。そのため、開発費がかかるディーゼルエンジンを搭載するのは、販売面でのメリットが少ないと判断されてしまいがちです。
排気量の規定がある
軽自動車には法律上の明確な排気量制限があります。日本の軽自動車の排気量は660㏄以下と定められており、この規定は自動車税や保険料の優遇措置とも密接に関わっています。
一方で、ディーゼルエンジンは構造上、十分な出力を得るためにある程度の排気量が必要となります。660ccの範囲内で、十分なトルクや出力を確保するのは現段階では困難です。このような環境でのディーゼルエンジンでは、性能面でガソリン車に劣る可能性が高いため、どのメーカーもディーゼルエンジンを搭載した軽自動車は造らず、ガソリンエンジンを優先しています。
振動や騒音が大きくなる
ディーゼルエンジンは、燃焼圧力が高く、その特性上エンジンの振動や騒音が大きくなりがちです。とくに軽自動車は普通車に比べて車体の剛性や防音対策が限られており、そのような状態でディーゼルエンジンを搭載すると快適性を損なう要因になります。
また、市街地や住宅街での利用が多い軽自動車において、騒音問題は無視できません。深夜や早朝に大きなエンジン音で車が近所を走行していると、近隣トラブルの火種になってしまいかねないでしょう。
エンジン音が大きいと顧客満足度の低下に直結するため、ディーゼルの採用は避けられているのが現状です。
そもそもディーゼルエンジンとは
ディーゼルエンジンとは、空気を圧縮して高温にし、そこに燃料(軽油)を噴射して自己着火させる方法の内燃機関です。燃費性能に優れ、商用車に多く搭載されています。
ここからは、ディーゼルエンジンの基礎知識や、メリット・デメリットについて見ていきましょう。
ディーゼルエンジンの基本知識
ディーゼルエンジンは、点火プラグを使わずに高圧縮比による自己着火を利用するエンジン方式です。ディーゼルエンジンの燃料には、軽油を使用し、トルクに優れていることが特徴です。
ガソリンエンジンや、クリーンディーゼルとの違いについても解説します。
ディーゼルエンジンの燃料の特徴
ディーゼルエンジンで使用される燃料は「軽油」で、ガソリンよりも燃焼温度が低く、引火点が高いという特徴があります。これにより安全性が高く、またガソリンに比べて価格が安いため、燃料コストの削減にも寄与します。
軽油はエネルギー密度が高く、長距離運転に適しています。そのため、物流業界や建設業界など長距離や重作業に耐える必要がある商用車やトラックでの採用が多く見られます。
ガソリンエンジンとの違い
比較項目 | ディーゼルエンジン | ガソリンエンジン |
燃料 | 軽油 | ガソリン |
点火方法 | 自己着火 | 点火プラグを使用 |
燃費 | 高い | やや劣る |
トルク | 大きい | 小さい |
騒音・振動 | 大きい | 静か |
メンテナンス費用 | やや高い | 比較的安価 |
このように、ディーゼルは効率とパワーに優れる反面、快適性や静粛性に欠ける傾向があります。
クリーンディーゼルとの違い
従来のディーゼルエンジン」は、黒煙や窒素酸化物などの有害物質を多く輩出していました。しかし、最新のクリーンディーゼルは、排気ガスの後処理装置を搭載することで、環境負荷を大幅に低減しています。
クリーンディーゼルには、「ディーゼル微粒子捕集フィルター」などの高性能装置が採用されており、欧州では乗用車にも広く普及しています。ただし、これらの装置が車両価格を押し上げる要因にもなっています。
ディーゼルエンジンのメリット
ディーゼルエンジンは燃費の良さとトルク性能に優れ、特に長距離運転や商用ユースでそのメリットを発揮します。以下に具体的な利点を紹介します。
ガソリンよりも燃料費が安い
日本国内では軽油の価格がガソリンよりも安価に設定されており、燃料費を抑えたいユーザーにとって経済的な選択肢です。また、燃焼効率も高く、1リットルあたりの走行距離も伸びる傾向があります。
たとえば、年間10,000km以上走行するドライバーにとっては、軽油の価格差と燃焼効率の恩恵で年間数万円の節約も可能となります。
燃費が良い
ディーゼルエンジンは燃料のエネルギー密度が高く、燃焼効率に優れているため、同じ距離を走る場合でも消費する燃料の量が少なくなります。
これは、とくに高速道路での巡航時に差が出やすく、ガソリンエンジンに比べて1~2割程度の燃費向上が見込まれます。燃料費が家計に大きな影響を及ぼす現在、燃費性能は大きな判断材料となっています。
加速性能に優れている
ディーゼルエンジンは低回転から高トルクを発生させる特性を持っており、発進や登坂時の加速性能に優れています。
これにより、市街地でのストップ・アンド・ゴーの多い運転環境でもスムーズな加速が可能で、ストレスの少ないドライブが実現できるでしょう。とくにミニバンやSUVなどの重量車でその利点が際立ちます。
ディーゼルエンジンのデメリット
多くのメリットがある一方で、ディーゼルエンジンには冬場の凍結リスクや車両価格の高さといったデメリットも存在します。以下に注意点を紹介します。
燃料である軽油が凍結する可能性がある
軽油はガソリンよりも凍結温度が高いため、寒冷地では冬季に燃料が凍ってしまうリスクがあります。これにより、エンジンが始動できない事態も発生する可能性があります。
寒冷地仕様の軽油(冬用軽油)を使用するなどの対策が必要ですが、ユーザー側の管理が求められる点は、利便性に劣るポイントだと言えるでしょう。
ガソリン車よりも車両価格が高め
クリーンディーゼル技術を搭載した車両は、ガソリン車よりも平均で数十万円高い傾向があります。これは、廃棄処理装置や高精度部品の採用により製造コストが増加しているためです。
軽自動車は「低価格」が大きな魅力であり、価格帯が上昇すると購買意欲が低下する傾向があります。これもディーゼル軽自動車が市場に現れない要因のひとつです。
ディーゼルエンジンが搭載されている人気モデル
現在、国内の乗用車市場で人気のディーゼルモデルには以下のような車種があります。
メーカー・車種 | 画像 | 特徴 |
マツダ・CX-5 | ![]() |
・マツダのクリーンディーゼル「SKYACTIV-D」搭載 ・トルク性能と燃費のバランスが良い |
トヨタ・ハイラックス |
![]() |
・耐久性重視のピックアップ ・ダイナミックなデザイン |
三菱・デリカD:5 |
![]() |
・オフロード性能とディーゼルの組み合わせが魅力 |
これらのモデルはいずれも普通車であり、軽自動車サイズでのディーゼル搭載例はありません。
ディーゼルの軽自動車ではなく電気自動車が普及し始めている理由
現在の軽自動車市場では、ディーゼルではなく電気自動車(EV)の新型車やモデルチェンジが進んでいます。理由は主に、環境性能とコストの観点からです。
ここからは、ディーゼルの軽自動車ではなく、電気自動車が普及し始めている理由について紹介します。
軽自動車はEV(電気自動車)と相性が良いから
軽自動車は車体がコンパクトで重量が軽いため、EV化との相性が良いと言われています。バッテリー容量が小さくても、一定の航続距離が確保でき、日常の買い物や通勤といった用途で十分に活用可能です。
また、都市部では騒音対策や排ガス規制が厳しくなっており、EVの静粛性や排気ゼロの特性が評価され、軽自動車の電動化が進んでいます。
維持費を抑えられるから
電気自動車は、ガソリン車と比較して以下のような維持費削減のメリットがあります。
・自動車税の減免措置
・オイル交換が不要でメンテナンス費用が抑えられる
・モーター駆動による消耗部品の少なさ
こうしたメリットは、元々低コスト志向の高い軽自動車ユーザーにとって大きな魅力です。とくに長期保有を考える場合、ランニングコストの差は明確です。
環境への配慮がされているから
地球温暖化対策やSDGsの観点から、二酸化炭素排出量を削減する動きが加速しています。ディーゼルエンジンは排気処理が進化したとはいえ、依然としてNOxやPMの排出が課題です。
一方、電気自動車は走行中に排気ガスを一切出さず、環境性能が高く評価されています。政府の補助金やメーカーの開発投資もEVに集中しており、カー業界のニュースや検索情報もEV関連が多くなっています。
軽自動車で人気のEV車
現在販売中の軽EVで人気のあるモデルを紹介します。
メーカー・車種 | 画像 | 特徴 |
日産・サクラ | ![]() |
・航続距離180km ・静粛性と乗り心地が評価されてる |
三菱・ekクロスEV | ![]() |
・SUVスタイルの軽EV ・若年層に人気 |
ホンダ・N-VAN EV | ![]() |
・急速充電は約30分 ・軽商用EVとして注目 |
これらのモデルは、実用性と価格、そして環境性能のバランスが取れており、今後さらにラインナップの拡充が期待されます。
軽自動車に関するさまざまなご相談は軽の森へ!
ディーゼルエンジンの軽自動車が存在しない理由の大きな原因は、軽自動車だとディーゼルエンジンの恩恵を受けにくいことがあげられます。燃料の安さを重視するのであれば、より軽自動車と相性が良い電気自動車がおすすめです。
南大阪を拠点にした届出済未使用車・軽の森は、届出済未使用車を専門に取り扱う軽自動車販売店です。国内オールメーカー全ての軽自動車を取り扱っており、メーカーの異なる車をひとつの店舗で比較することが可能です。
軽の森スタッフも、中立的な立場で車の特徴を説明させていただけるので、購入希望の車種が決まっている方はもちろん、「まだ欲しい車の種類が定まっていない」という方もお気軽にお越しください。
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