街乗りでの扱いやすさとオフロード走行を彷彿とさせる力強いデザインを両立させた「軽クロスオーバーSUV」というジャンルは、近年軽自動車市場において絶大な人気を誇っています。
そのなかでも、スズキの「ハスラー」とダイハツの「タフト」はどちらを選ぶべきが悩む方が多いのが特徴です。
この記事では、プロの視点からハスラーとタフトのそれぞれの魅力を紹介します。
ハスラーとタフト、それぞれどんな車?特徴を比較
ハスラーとタフトを比較する上で、まずはそれぞれの車がどのような生い立ちを持ち、どのような目的で作られたのかを知ることが重要です。
これを知ることで、車全体の雰囲気や装備の優先順位がなぜそのようになっているのかが理解しやすくなります。
・ターゲット層と使われ方の違い
車の基本スペックとコンセプト
軽クロスオーバーというジャンルは、従来の軽ワゴンが持つ広い室内空間と、SUVが持つ高い走破性やワクワクするような遊び心を融合させたものです。
ハスラーはこのジャンルの先駆者として市場を切り拓き、タフトはその強力なライバルとして、ダイハツの最新技術を投入して登場しました。
両者ともに軽自動車規格という限られたサイズの中で、最大限の個性を発揮していますが、そのアプローチは実に対照的です。
スズキ ハスラー
スズキのハスラーは、2014年に初代が登場して以来、瞬く間に人気車種となりました。現行モデルは二代目にあたり、そのコンセプトは「遊べる軽」をさらに進化させたものとなっています。
ハスラーの最大の特徴は、可愛らしさとタフさが同居した独創的なデザインと、徹底した実用性の高さにあります。全車にマイルドハイブリッドシステムを搭載しており、環境性能と走りの軽やかさを両立させている点も大きな強みです。
また、室内空間を最大限に活用するためのシートアレンジが非常に豊富で、一人旅からファミリーユース、さらには本格的なキャンプまで、あらゆるライフスタイルに柔軟に応えてくれる「万能選手」といえる存在です。
ダイハツ タフト
対するダイハツのタフトは、2020年に登場した比較的新しいモデルです。コンセプトは「ジブン、オープン、青空SUV」を掲げており、最大の特徴は全車に標準装備された「スカイフィールトップ」と呼ばれる巨大なガラスルーフです。
タフトは、かつての本格SUVの名を継承していることからもわかる通り、より道具感の強い、スクエアで無骨なデザインを採用しています。ハスラーが多機能なマルチツールだとするならば、タフトは特定の目的を研ぎ澄ませた専用工具のような魅力を持っています。
特に運転席周りのコックピット感や、後部座席を荷室と割り切った設計など、個性を重視するユーザーに対して非常に強い訴求力を持っています。
ターゲット層と使われ方の違い
ハスラーは、その柔軟性の高さから非常に幅広い層に支持されています。通勤や買い物といった日常使いから、週末のアウトドアまで、一台で全てをこなしたいと考える欲張りなユーザーに最適です。
特に、後部座席に人を乗せる機会が多い方や、車中泊を楽しみたいと考えている方にとっては、ハスラーの自由自在なシートアレンジが大きなメリットとなります。
一方、タフトはよりパーソナルな用途を重視するユーザーに向けられています。例えば、独身の方や、普段は一人か二人でしか乗らないという方が、自分だけの特別な空間を楽しみたいというケースに向いています。ガラスルーフから見える圧倒的な開放感は、他の軽自動車では決して味わえない贅沢な体験を提供してくれます。
また、デザイン面でも「可愛さ」より「格好良さ」を重視する男性ユーザーや、クールなスタイルを好む女性ユーザーからの支持が厚いのが特徴です。
外観・内装の違いをチェック
車を選ぶ際に最も直感的に好みが分かれるのが、見た目のデザインと、毎日過ごすことになる車内の雰囲気です。
ハスラーとタフトは、どちらもSUVらしさを強調していますが、その表現方法は大きく異なります。
・インテリア
・ボディカラーのバリエーション
エクステリアデザインの比較
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| スズキ・ハスラー | ダイハツ・タフト |
ハスラーのエクステリアは、初代から続くアイコンである「丸型ヘッドライト」が最大の特徴です。この丸目がもたらす愛嬌のある表情と、ボディ全体に施されたスクエアな造形のコントラストが、絶妙な「タフ可愛い」スタイルを作り出しています。
ピラーを立てて屋根を広く見せることで、数値以上の大きさを感じさせる工夫がなされています。また、ボディ下部を黒い樹脂パーツで覆うことで、SUVらしい力強さを演出しつつ、飛び石などからの傷を防ぐ実用性も兼ね備えています。
これに対してタフトは、一切の無駄を削ぎ落としたような、直線基調のボクシーなフォルムが特徴です。ヘッドライトは角型を採用し、フェンダー周りの樹脂パーツもより強調された造形になっており、まるで軍用車や本格的なクロスカントリー車を彷彿とさせるような「ギア感」を漂わせています。
最低地上高もしっかりと確保されており、どこにでも行けそうな頼もしさを感じさせます。タフトの水平なボンネットラインは、運転席からの車両感覚の掴みやすさにも貢献しており、デザインと機能が密接に結びついていることがわかります。
インテリア
内装においても、両者の哲学の違いは鮮明に現れています。ハスラーは楽しさと機能性を、タフトは開放感と使い勝手のメリハリを重視した作りになっています。
室内空間
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| スズキ・ハスラー | ダイハツ・タフト |
ハスラーの車内に入ってまず目を引くのは、インストルメントパネルに配置された3つの大きなカラー枠です。これは時計やメーター、収納を象徴するアイコンとなっており、遊び心を演出しています。室内は非常に明るい雰囲気で、軽自動車とは思えないほどの開放感があります。
特にハスラーは、後部座席の居住性が非常に高く、前後のシート間隔も十分に確保されているため、大人が4人乗っても窮屈さを感じにくい設計になっています。 タフトのインテリアで主役となるのは、何といっても頭上に広がる「スカイフィールトップ」です。この広大なガラス越しに見える空は、車内の閉塞感を一気に解消し、ドライブの楽しさを何倍にも引き立ててくれます。
また、フロントシートはホールド性の高い「ダイナミックサポートシート」を採用しており、長距離運転でも疲れにくい工夫がなされています。運転席周りは「クルーペース」と呼ばれ、機能的なスイッチ配置によってコックピットのような高揚感を与えてくれます。
ラゲッジスペース
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| スズキ・ハスラー | ダイハツ・タフト |
荷室の考え方には、両車の最も大きな違いの一つがあります。ハスラーは「荷物も人も大切にする」設計です。後部座席を左右独立してスライドさせることができるため、乗員人数や荷物の量に合わせて柔軟にスペースを調整できます。
また、荷室の床面やシート背面には汚れを拭き取りやすい素材が使われており、濡れたキャンプ道具や泥のついた長靴なども気兼ねなく積み込めるようになっています。
タフトは「バックパック・スタイル」というコンセプトを採用しており、後部座席を荷物置き場として積極的に活用する設計になっています。後部座席の背もたれを倒すと、隙間のないフラットな荷室空間が出現し、こちらも汚れに強い樹脂製の素材が採用されています。
タフトの後部座席はスライド機能がありませんが、その分、荷室としての使い勝手を極限まで高めており、趣味の道具をガシガシ積み込んで出かけるようなアクティブな使い方に特化しています。
ボディカラーのバリエーション
カラーラインナップも、車選びの大きな楽しみの一つです。ハスラーは、ビビッドなオレンジやイエロー、可愛らしいピンクなど、街中で目を引く2トーンカラーが非常に豊富です。ルーフの色をホワイトやガンメタリックに変えることで、自分だけの一台を作り上げる楽しさがあります。
タフトは、その無骨なスタイルに合わせて、アースカラーが充実しているのが特徴です。フォレストカーキやレイクブルー、サンドベージュといった、自然の中に溶け込むような渋い色合いがラインナップされており、大人の道具としての魅力を引き立てています。もちろん、タフトにも明るいカラーは存在しますが、全体的に落ち着いた、力強い印象を与えるカラー構成となっています。
走行性能・燃費性能を比較
見た目の好みと同じくらい大切なのが、実際に運転した時のフィーリングや、家計に優しい燃費性能です。
ここでは、エンジンや駆動系といったメカニズムの側面から比較していきます。
・燃費性能と日常使いでのコスト
・駆動方式・走破性の違い
エンジン性能と加速感の違い
ハスラーの大きな武器は、全グレードに搭載された「マイルドハイブリッド」です。これは、発電機を兼ねたモーターがエンジンの動きを補助する仕組みで、特に発進時や加速時にその恩恵を感じることができます。
モーターの力強いアシストにより、信号待ちからのスタートも非常にスムーズで、軽自動車にありがちな「エンジンの頑張っている音だけが大きくて加速しない」というストレスが軽減されています。
ターボ車を選べば、高速道路での合流や急な坂道でも余裕のある走りが可能で、さらに力強い加速を楽しむことができます。
タフトは、ダイハツの新しいプラットフォームであるDNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)を採用しており、ボディの剛性が非常に高いのが特徴です。これにより、カーブを曲がる時の安定感や、路面からの衝撃をいなす感覚が非常に洗練されています。
エンジンについては、自然吸気モデルとターボモデルが用意されており、特にターボモデルには「D-CVT」という特殊なトランスミッションが組み合わされています。これはベルトとギアを併用することで、低速から高速まで効率よく力を伝える仕組みで、キビキビとした軽快な走りを実現しています。
ハスラーが「しなやかでスムーズ」な走りだとすれば、タフトは「カッチリとしていて力強い」走りであると表現できます。
燃費性能と日常使いでのコスト
燃費性能においては、マイルドハイブリッドを搭載しているハスラーが一歩リードしています。WLTCモードと呼ばれる実態に近い燃費測定値で見ると、ハスラーの自然吸気モデル(2WD)はリッターあたり25キロメートルを超える優れた数値を記録しています。
毎日長い距離を通勤で使う方や、燃料代を少しでも抑えたいと考えている方にとって、この燃費の良さは長期的なメリットとなります。
タフトの燃費も決して悪いわけではなく、最新のエンジン技術により高い水準を維持していますが、ハスラーと比較するとわずかに数値が低くなる傾向にあります。
とはいえ、タフトの走りの質感や、ガラスルーフによる体験価値を考慮すれば、その差を納得できるユーザーも多いでしょう。日常の買い物や近場での移動がメインであれば、両者の燃料代の差はそれほど大きな負担にはならないかもしれません。
駆動方式・走破性の違い
両車ともにSUVを名乗る以上、雪道や未舗装路での走破性も気になるところです。ハスラーとタフトには、どちらも2WDと4WDが設定されています。
ハスラーの4WDモデルには、雪道での発進をサポートする「スノーモード」や、ぬかるみでの脱出を助ける「グリップコントロール」、さらには急な下り坂で車速を自動で制御する「ヒルディセントコントロール」が装備されています。これらの電子制御により、スキーやスノーボード、キャンプ場への移動など、ちょっとした悪路走行でも高い安心感を得られます。
タフトも同様に、グリップサポート制御などの機能を備えており、高い地上高を活かして段差や凸凹道でも下回りを擦りにくい設計になっています。
特にタフトの4WDは、ダイハツが長年培ってきた4WD技術が投入されており、安定したトラクション性能を発揮します。どちらの車も本格的なクロスカントリー車のような激しいオフロード走行は想定されていませんが、日常のレジャーで遭遇する程度の悪路であれば、十分すぎるほどの性能を持っています。
装備・安全性能はどちらが充実?
現代の車選びにおいて、安全性能は欠かせないチェックポイントです。また、日々の運転を快適にする便利な装備についても、ハスラーとタフトではそれぞれ特徴的なこだわりが見られます。
・標準装備・オプションの比較
・快適装備(収納・ディスプレイなど)
安全支援システムの内容と違い
ハスラーには、スズキの最新安全技術である「スズキ セーフティ サポート」が搭載されています。これには、夜間の歩行者も検知する衝突被害軽減ブレーキや、踏み間違いによる急発進を防ぐ機能などが含まれています。
特筆すべきは、上位グレードに搭載される「アダプティブクルーズコントロール(ACC)」です。これは先行車との距離を保ちながら自動で加減速を行う機能で、長距離ドライブの疲れを大幅に軽減してくれます。
タフトには、ダイハツの安全支援システム「スマートアシスト」が搭載されています。タフトの強みは、ステレオカメラを用いた高度な認識能力にあります。ハスラーと同様、衝突回避支援や誤発進抑制機能はもちろん、車線をはみ出しそうになった時の警告や修正など、多岐にわたる機能が標準装備されています。
タフトもグレードによってACCが装備可能ですが、電動パーキングブレーキを採用しているため、停止保持機能が付いている点が魅力です。これにより、信号待ちなどでブレーキペダルを踏み続ける必要がなく、街中での運転が非常に楽になります。
標準装備・オプションの比較
ハスラーの魅力は、細かいところまで行き届いた配慮です。例えば、後部座席にもパーソナルテーブルが用意されていたり、助手席の座面の下に大きな収納ボックスが隠されていたりと、収納の多さは驚くべきものがあります。また、メーカーオプションのメモリーナビゲーションは、スマートフォンのように直感的な操作が可能で、視認性も非常に高いのが特徴です。
タフトの最大の標準装備は、繰り返しになりますが「スカイフィールトップ」です。これをオプションではなく全車に標準採用した点は、ダイハツの強いこだわりを感じさせます。また、電子制御パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能が全車標準装備となっている点も、タフトの大きなアドバンテージです。一度この機能に慣れてしまうと、他の車には戻れないというユーザーも少なくありません。
快適装備(収納・ディスプレイなど)
車内の快適性において、ハスラーは「整理整頓のしやすさ」を追求しています。インパネアッパーボックスはテーブルとしても使え、カップホルダーやドアポケットも使い勝手の良い位置に配置されています。車内全体が自分たちの部屋のように落ち着ける空間になっています。
タフトは、運転席周りの「機能美」を重視しています。メーター類は見やすく配置され、スイッチ一つひとつの操作感もカッチリとしています。
また、スマホ連携ディスプレイオーディオなども設定されており、最新のデジタルデバイスとの親和性も高いです。タフトの車内は、必要なものが手の届く範囲に整然と並んでいる、まさに「コックピット」のような快適さがあります。
ハスラーとタフト、どちらが自分に合っている?
ここまで様々な角度から比較してきましたが、最終的にどちらを選ぶべきかは、皆様のライフスタイルや何を最も重視するかによって決まります。
ここでは、代表的な3つのケースに合わせて、おすすめを提案します。
・通勤・街乗りメインで使うなら
・コスパ・維持費を重視するなら
アウトドア・レジャー用途で選ぶなら
キャンプやスノーボード、車中泊など、本格的なアウトドアを楽しみたいのであれば、ハスラーがおすすめです。その理由は、圧倒的なシートアレンジの多様性と後部座席の快適性にあります。
フルフラットにして大人二人が寝転べるスペースを作れる点は、ハスラーならではの強みです。また、濡れた荷物をそのまま載せられる防汚シートや、豊富なアクセサリー(純正オプション)を組み合わせることで、自分専用の動く基地を作り上げることができます。
通勤・街乗りメインで使うなら
日々の通勤や買い物など、日常の足としての使い勝手を重視するなら、タフトが一歩リードするかもしれません。その理由は、電動パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能による運転のしやすさにあります。
渋滞の中での停車中に足を離せるメリットは非常に大きく、毎日の運転の疲れを軽減してくれます。また、ボクシーな形状による見切りの良さは、狭い駐車場での切り返しなどでも威力を発揮します。スカイフィールトップによる開放感は、いつもの通勤路を少し特別な景色に変えてくれるはずです。
コスパ・維持費を重視するなら
購入後の維持費、特にガソリン代を最優先に考えるのであれば、ハスラーが最適です。マイルドハイブリッドによる低燃費は、日々走行距離を重ねる人ほど大きな恩恵となって返ってきます。
一方で、車両価格についてはグレードやオプションの選び方次第で両車に大きな差はありませんが、タフトはガラスルーフや電動パーキングブレーキといった高級な装備が標準で付いている点を考慮すると、装備内容に対するコストパフォーマンスは非常に高いと言えます。
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愛嬌のあるデザインと万能な実用性を求めるならハスラー、無骨なスタイルと圧倒的な開放感、そして運転のしやすさを求めるならタフト、というのが一つの指針になるでしょう。
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画像引用・出典
スズキ(ハスラー)
ダイハツ(タフト)











